20世紀にはいって、西洋医学はめざましい発展をし、多くの病気に対しその効果を示してきました。ところが一方で、数々の慢性の病気や心の病気が治療のわくからとり残されていったことも事実です。
しかし、これらの病気も視点を変え、東洋医学的治療を試みることで、容易に治癒(ちゆ)へ導けることが少なからずあります。
西洋医学は、病気の原因となる外敵をたたくことに主眼を置くのに対し、漢方では病人の体質を整え、内部から病気に打ち勝つことを基本とします。
このため、同じ病名でも、その人の体質や病気の段階などに応じて、たくさんの薬を使い分けます。個人個人のオーダーメイド治療をするわけです。
具体的には、医師は患者様から病状に限らず、普段の体の状態を詳しく聞き、体格、顔色、舌の状態、脈の状態、腹の状態を診察し、最適と考える薬を決めるわけです。
それは、誤解です。
風邪などの急性病であれば、西洋薬以上の即効性があります。慢性の病気でも多くの場合、2週間も続ければ効果が出始めます。
漢方では「未病を治す」といい、病気として表面に現れる以前に、病気を防ぐ、いわゆる、予防医学も得意の分野です。
自然界にある薬草の中から、適切なものを選びだし、あるときは、その人の体質に不足しているものを補い、あるときは過剰なものを出すことによって、病気を防ぐわけです。
特に今後増加の一途をたどる、糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、そして癌などの生活習慣病の予防と治療に効果が期待されます。