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アトピー性皮膚炎は単一の原因による単一の疾患ではありません。多くの要因が重なり合って発症する症候群と考えるのが自然です。〈人体の治す力〉〈発症要因〉のどちらが上回っているかで症状がでるかどうかが決まってきます。

まずアトピー性皮膚炎の皮膚は保湿能力が少なくドライスキンと言われています。見た目にカサカサ肌で角質層の水分が減少しています。ドライスキン(乾燥はだ)がベースにあるため、種々の刺激(汗、涙、よだれ、ホコリ、温度差、衣服、汚れ、化学物質…)に対して炎症を起こし、痒くなりやすい状態です(易刺激性)。皮膚は外界からのバリアー(防御)の役割をもっていますが、ドライスキンはこのバリアー機能の低下があります。

アトピー性皮膚炎と言うと、一般にはアレルギー反応だけが関わって生じるアレルギー疾患と考えがちです。しかし現実のアトピー性皮膚炎は上述した皮膚生理機能異常が基盤にあってストレス、刺激、季節の変化、感染、アレルギー反応など様々な要因が重なり合って発症するという構造なのです。
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  アトピー性皮膚炎治療の基本方針

1. スキンケア入浴、石けん、洗剤、化粧品の正しい使い方
2. 東洋医学的治療漢方薬を中心とした体質改善
3. ステロイド、非ステロイド外用剤
4. 抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の服用
5. その他の治療法超酸化水、抗生物質、入浴剤、漢方軟膏など
6. 治療のまとめ




アトピー性皮膚炎の原因はアレルギー反応だけではなく、皮膚そのものの機能異常(乾燥はだなど)がもとにあり、これに汗、ほこり、ダニ、洗剤などの刺激が加わり、炎症とかゆみを発症することが大きな要因です。又、手でかくことにより、さらに皮膚表面を傷つけ、機能異常を増悪させるといった悪循環をきたすことになります。
そこで皮膚そのものを保護する(スキンケア)が治療の最優先となるわけです。
具体的には、皮膚についたほこり、細菌、汗などを除くためにも毎日のシャワー又は入浴は大切です。ただ、ここで使用するシャンプーや石けんが残るとアトピーの増悪の原因となるため、十分に洗い流すことが必要です。できれば、添加物を含まない製品を使用される方が良いと考えます。入浴、シャワーは皮膚のバリアーを構成する脂やタンパク質を一部落とすため、入浴後はすばやく保湿クリームや軟膏を病変部にぬることが大切です。
次に皮膚にふれる下着は化学繊維はさけ、綿100%のものを選びましょう。
又、
下着や服に残った洗剤も害をおよぼしますので、洗濯時の洗いは2度行うなど十分な時間を使い、できれば、ぬるま湯を使うのが有効です。又、洗剤は無添加、低刺激性のものを選びましょう。
この他に化粧品の使用はできるだけ少なめにして、直射日光も可能な限りさけることが望ましいと思います。




漢方薬の内服は、アトピーの2大原因であるアレルギー反応皮膚のバリアー低下の両方の体質を改善する点で、きわめて有効な治療法です。ただ効果が発現するまでには数カ月以上必要とするため、それまでの病状を楽にし、悪循環を断つためにも、スキンケアやステロイドなどの外用薬の使用は必ず必要です。



(1)  
ステロイド外用剤
アトピー性皮膚炎の炎症を抑えるには、まずステロイド外用薬が第一選択になります。これは喘息の気道炎症や鼻粘膜の炎症を抑えるためのステロイドの吸入、噴霧と同じ意味を持っています。

ステロイドという言葉を目にしただけで、その陰の部分(副作用)について過敏反応をおこされる方がおられますが、ステロイド外用剤では、全身的副作用はまずなく、正しく使用すれば皮膚の局所の副作用も決しておこりません。

<具体的な塗り方>

赤み・炎症が強い時十分な強さのステロイド剤を1日3回は必ず塗る。分厚く塗る必要はなく、病変部をはみだして塗る必要もありませんが、3回という回数は必ず守ってください。

赤み、炎症が軽減してきたらゆっくりと使用量、期間、範囲、強さを減らしていき離脱にまでもっていきます。長期連用をさけ、ステロイド外用剤を塗らない日を徐々に増やしていくなどきめ細かい塗りかた、減らし方をすればリバウンドも起こさず副作用の発生もおこしません。

具体的には以下の2つの方法があります。

@もとのステロイド剤を週7日から6日→5日→4日→3日と減らす又は1日3回を2回→1回と減らし、その他の期間は非ステロイド外用剤をぬり、スキンケアは続ける。

 最終的には非ステロイド外用剤のみ
とし、その回数も1日3回から2回、1回へと減らしていく。
Aもとのステロイドを徐々に弱いものに変えていくか、もとのステロイドと非ステロイド外用剤を混ぜて、しだいに非ステロイド外用剤の比率を増やして、ステロイドの濃度をうすめていく。 この間、外用剤をぬる回数は毎日1日3回とし、最終的に非ステロイド外用剤のみとし、 その回数も減らしていく。

ただし、いずれにしても、ステロイドの減量中に体の一部に発赤が再燃することがあります。この時は間髪を入れず、強めのステロイドを1日2〜3回、2〜3日間ぬり炎症を改善する必要があります。

(2)   非ステロイド外用剤  非ステロイド外用剤には以下のものがあります。

  • ヒルドイド軟膏、ローション

  • 尿素軟膏、ローション(パスタロン、ウレパールなど)

  • 白色ワセリン

  • 亜鉛華軟膏

  • オリーブオイル・クリーム

非ステロイド外用剤での副作用の発現はまれで、ステロイドの離脱や症炎がおさまったあとの皮膚バリアーを保つためにも、きわめて有効です。
カサカサはだの部分には、風呂上がりには必ず、十分な量をぬりましょう。


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皮膚のかゆみやアレルギー反応を抑えるこれらの薬は、皮膚バリアーの破壊をまねく、
「かく」という行為や、アレルギー反応を抑制する意味で有効な治療薬です。




超酸化水、抗生物質軟膏
バリアーの破壊された皮膚に黄色ブドウ球菌などの細菌が増え、皮膚破壊をさらに進行させることが知られています。これら細菌を殺す目的で超酸化水などは有効ですが、酸化水や抗生物質が新たな皮膚破壊やアレルギー反応を誘発する可能性もあり、連続的な使用は1週間以内にとどめた方が良いでしょう。

入浴剤、漢方軟膏
皮膚の血行を促進してバリアー機能を高める効果があり、有効なことがありますが、新たなアレルギー反応(過敏反応)をおこし、皮膚炎を悪化させることがあります。使用して症状が悪化したら、すぐにやめてください

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治療のまとめ


アトピーは慢性の病気です。漢方薬や抗アレルギー剤で体質を変えることができますが、数か月〜数年の期間を要します。この間はステロイド外用薬ですばやく炎症をしずめたり、非ステロイド外用薬で皮膚の保護をしたり、抗ヒスタミン剤で、かゆみを抑えたりといった対症療法も必ず必要かつ、悪循環を断つためにも重要な治療法です。又、ほこりやダニの除去や食養生など生活スタイルの改善も可能な限り実行しましょう。


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